妊娠とバルプロ酸、そしてADHDリスク

妊娠とバルプロ酸、そしてADHDリスク

妊娠中は薬を避けたい…そんな気持ちを多くの女性が抱くと思います。

わけても、妊娠とバルプロ酸(デパケン)の相性が悪いことは広く知られています。私たち医師は、女性が妊娠すると、基本的にはバルプロ酸をやめたいのです。もちろん、例えばてんかんで、どうしても発作抑制にバルプロ酸が必要な場合には最低限の量で維持するという選択肢はあるのですが。

なにゆえバルプロ酸を避けるのか、といえば、それは奇形率を上げることが知られているからです。

さて、そのように基本的には避けられるバルプロ酸を妊娠女性が服薬した時に、子どものADHD率は上がるのかどうか、というのが今日の紹介論文です。

 

 

こういった疫学調査ではおなじみのデンマークの研究ですが、913,302人の子供を対象に、ADHD率と、母親のバルプロ酸服薬の有無を調べています。

結論としては、バルプロ酸は子どものADHD率を上げていました。

背景のメカニズムは多分に仮説的ですが、ご興味ある方、お読みください。

ちなみに、私の個人的見解ですが、もともと遺伝的にADHDの因子を持っていない子供をバルプロ酸がADHDにさせてしまう…のではなく、遺伝的にADHD因子を持っている場合に、若干(若干ですよ)そのADHD因子を発現させやすくしてしまうのかなと。どうしてもバルプロ酸服薬が必要な妊婦さんに、この結果をもってして、服薬をやめなさい、とまでは言えない気はしています。

 

                                                                                                                                                                              ライデック代表 松澤大輔